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図4
Subscriberさん
こんにちは。

「あなたのかかりをしようよ! 自分と周りを幸せに出来るよ」
を伝える、
あり方を発見5歳児
『ばなな』でございます。


奈津子さんは、お母さんがイギリスの方、お父さんが日本の方。
目鼻立ちの整った瞳のくりくりした可愛らしい女の子でした。

家庭訪問では、娘が通訳するくらい、お家では英語を喋っています。
本が好きで、休み時間は一人で本を読んでいました。
みんなが声をかけると、ちょっとだけはにかんで、すぐさま本に目を落とします。

まじめで、何でも出来て、誠実で、
でも、確実にみんなとの間に壁を作っていました。
放課後もみんなが遊んでいるところから少し離れたところで
二つ下の弟と遊んでいました。
ときどきこちらを見てはなんだかうらやましそうな顔をしていました。

そんな彼女が、音楽の時間に泣いて戻ってきました。
授業中、クラスでやんちゃな男の子から
「オマエ、ハーフなんだって?」
って言われたらしいんです。

授業中にかかわらず大泣きして、担当の音楽の先生いわく、
授業どころではなかったそうです。
 
ぼくはクラスを自習にして面談室で彼女と話しました。
事情を聞くと、ハーフである自分が嫌いだ、ということらしいのです。
ぼくは正直に言いました。
「ハーフであることを変えることは出来ないんだよね、一生」
そういった発言を周りがしないように注意することは出来るのですが、
それ以上に本人が奈津子としての人生を生きていく覚悟を持つ必要があるのです。

彼女は頷きました。
ぼくは続けました。
「君は、イギリスと日本、二つのなかなか理解し合えないものを
つなぐ使命があると思うよ。
日本に生まれた人には絶対に出来ないことさ。
二つの異なる文化の中に育てられた君じゃなければ絶対に見えない感覚なんだよね」
手を被ってしゃくりあげていてた彼女がぴくっ、って反応しました。
何か伝わったみたいなんです。
 
ぼくは奈津子の絵を褒めました。
彼女の作品は、彼女にしか見えない独特の色や光を感じるんです。
それは二つの異なる国を言ったり来たりしていることによってでしか
生まれない世界でした。

あなたを否定した子を叱っておくけれど(そんなことしなくていい、と奈津子は言った)
自分の素晴らしいところがいっぱいあるんだよ、といったときでした。

ぼくはこの話をみんなに伝えたくなりました。
クラスのみんなも少なからず、
両親の異なる価値観に翻弄されたり本当の自分と親が期待する自分との間で
ゆれたりしているからです。

「ちょっと待ってて」
まだ泣いている彼女を残し、ぼくは教室に戻り、
奈津子がどんな理由で悲しんでいるのか説明しました。

その中で、一番伝えたいことは、彼女が皆と「違う」と思い込んでいる点でした。

すると、突然、一人の女子が立ち上がりました。
「せんせい、奈津子の所にいっていいですか」
「いいけど、どうするの?」
「わたしにまかせてください」
その言葉に反応するように女の子が何人か立ち上がりました。
やがて女の子全員で奈津子の所に行く、という話になりました。

「おれたちも行くよ」
気の利いた男子が同じように立ち上がると、
さっきの女の子がこういいはなちました。

「男子は黙ってて」
ぼくも含めた男性陣は、お互いの顔を見合わせて、
わかったとばかりに席に着きました。

15分は経ったでしょうか。
ぼくらが、まったりと過ごしていると、女の子達が嬉しそうに戻ってきました。
その中には、奈津子の姿がありました。
「何を話したの?」
奈津子に聞いてもはにかむだけでした。
女の子達の中にあふれる自信のようなものを認めた瞬間、
大丈夫だろう、って思いました。

それからクラスは変わりました。
特に奈津子は係の時間ではじめた『本係』で楽しそうに活動しました。
画用紙を重ねて作った小さな絵本を教室の後ろに置いたところみんなが
「面白い」
「もっと読みたい」
と言い出したのでした。
彼女はクラスに溶け込み、休み時間も忙しそうでした。
放課後も何人かと時間を過ごし、子どもらしい仕草をぼくに見せてくれました。

やがてクラスの終わりが近づいたあるとき、あの日のことを話してもらいました。
そこで繰り広げられたことはこんな事でした。
居合わせた女子全員が、奈津子の好きなところを伝えたそうです。
そして同時に自分自身の嫌いなところを伝え合ったそうです。
彼女が気付いたことはたった二つだったそうです。
人は周りの人が「素敵」だと思っている所を嫌っていること。
どんな人も、自分の事を受け入れられず苦しんでいる、ということ。
この二つがわかってものすごく楽になったそうです。

彼女とお別れの時、こんな手紙をもらいました。
「わたしは自分の事が好きになりました。
そして二つの異なる文化をつなぐ架け橋になることを使命に
一生懸命にやっていきたいって思いました」

その言葉をもらえてぼくが嬉しくなり自信となったことは言うまでもありません。
たった1つの言葉が、誰かの胸に届き、いつまでも残っている、
ということを彼女を通して体験させてもらいました。






お話会です。
来た方にあわせてお話しする会
まだ参加者がいません
いなくてもしゃべります
https://yokayoka-gakuin.com/events/2211banana7



来月は12月7日(水)の予定です



Subscriberさんの一日が
最高のものになりますように。
ばななさん応援しています

素敵な一日を
byばなな


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