「あなたのかかりをしようよ! 自分と周りを幸せに出来るよ」 |
子どもたちに、こんな風に尋ねてみることがあります。
|
「最初は夢中でやっていたけれど、あるときからそれができそうな気になってきた」
|
達成感をイメージできたとき、スムーズに事が運ぶようです。
|
反対に、もうしんどい、っていっている子はよくこんな言葉を言っています。
|
で、達成感って何、っていう話ですが、幸せを想像することです。
|
例えば、待ち合わせの時間に遅れてきたとき、相手のことを想像します。
|
そのとき、どうやって遅れたことをわびようか、と想像します。
|
かつて、お母さんが事情でなかか家に戻れない子を担任したことがあります。
|
アキノリくん(仮名)は、お姉ちゃんと二人でほとんど暮らしていました。
|
朝、夕のご飯はもちろん、夜も二人で過ごしていました。
|
ぼくが担任する前の秋からそのような状態だったようです。
|
昼間、イレギュラーに帰ってくるらしいので、そのお母さんを待つため、
|
学校に来ないことは寂しいですが、アキノリの気持ちはよくわかります。
|
行事があるときでした。すると、ぼくにこんな話をします。
|
彼はファンタジーのようなたとえをよくしていました。
|
学校に来ない日は、放課後になると顔を見がてら遊びに行きました。
|
学校楽しいからおいでよ、なんて言葉を死んでも言いたくなかったんです。
|
それはぼくの中の一方的な想像に過ぎなかったのかもしれません。
|
でも、彼はボールを投げながら「寂しいよ」「わかって欲しいよ」
|
暗くなり、ボールが見えなくなると、ぼくらは家に帰りました。
|
彼がそう言うのでした。ぼくは、次に彼に会うときまで、
|
夏休みのある日は、彼の家に上がり込んでゲームをしました。
|
ぼくの持ってきたかき氷を食べ、マリオカートをやりました。
|
ぼくがちっともできないから、手加減をしてくれました。
|
お母さんがもどってくる気配がないことを問題視して、児童相談所が動き出したのでした。
|
ぼくが車に乗って家に行くと、ちょうど兄弟で買い物に行こうとしていました。
|
目的地のスーパーまで歩いたら大変なことになります。
|
いつもなら、ぼくの関わりを拒否しようとするお姉ちゃんも
|
買い物を終えて、家に戻る車の中で彼がはじめて「せんせい」って言いました。
|
「ありがとう。でも、いいのかい。君らの分はあるのかい?」
|
彼らが帰った後、なぜかおにぎりをほおばったら涙が出てきました。
|
そして、一週間後、いつかくることはわかっていたものの、
|
ある事件をきっかけに児童相談所に引き取られました。
|
ファンタジーは、自分が困惑したとき、苦しみや悩みを抱えたとき、
|
その問題と向き合い、解決するための手立てを教えてくれる、とありました。
|
https://yokayoka-gakuin.com/events/2211banana7
|
|