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Subscriberさん
おはようございます。

「あなたのかかりをしようよ! 自分と周りを幸せに出来るよ」
を伝える、
あり方を発見5歳児
『ばなな』でございます。



お話会でぼくは
これから三回に分けて紹介する
「クラスみんなで漢字テストを100点にする」
っていう実践を話しています。



今回、これを小冊子にして
小学生に届けられたらいいなって思っています。



これって人によっては
賛成する方と
受け入れがたいっていう人が
わかれる話です。

ただ、一番言いたいことは
『テストを全員で解決するのではなく』
社会規模や地球規模の課題を
『それぞれのあり方で向き合う』
っていうことです。

今までタイミング待ちをしていて
小冊子にせず
お話会に来た方にだけ話していました。



もう伝えてもいいよ
っていうタイミングが来たので


全文をお伝えします(^_^)







 ぼくの100点は
みんなの100点でできている

                       ばなな先生 作



                4

 あっ、というまにテストの前の日になった。
沢井さんが帰りの会で手をあげた。
「祭り実行委員です。みんな、明日テストだよ。練習のせいかをだそうね。」
って声をはりあげた。
 黒田君は、みんながきんちょうしているのに、早く帰りてぇ、ゲームしてぇって言ってる。
 本当に練習してるのかな?
「黒田君」帰りぎわにぼくは勇気を出して声をかけた。
「あん?」
「あのさ、明日漢字……」
「オマエもそんなくだらないこと言うの? みんなが手伝ってくれるんだろう? 50問テストで27問も教えてくれるんだろ
? 楽勝じゃん、そんなの」
「えっ?」
「じゃあな」黒田君がランドセルをせおった。
 びっくりした。ルールをかんちがいしているようだった。

                   5
  
テストの本番になった。
「みんなで100点、とるぞっ!」
沢井さんのかけ声でみんながテストをうらがえした。
 しずかな教室に、鉛筆のカリカリっていう音がひびいた。
10分もしないうちに林さんが終わった。
クラス一、勉強のできる子だ。
『パーフェクトウーマン』って男子がよんでいた。
 前にすたすたと出て行って先生に丸をつけてもらっている。
「100点だ、おめでとう」
「はーい」 ふりかえった林さんは、ちっとも喜んでいなかった。
みんなが林さんを見て、口パクで「おしえてくれ」って言っている。
パクパクとみんなが口を動かしてテストを出しているすがたは公園の池のコイみたいだ。
 それを見た林さんは、ちょっといやな顔をした。
「テストは自分でやるんでしょ」って小さい声でいった。
ぶすっとしたまま、それでも何人かの机をまわって一画ずつヒントを出した。
でも漢字の苦手な矢野さんという女の子のところはスルーした。
どうしてだろう?
 そういえば、前にこんなことをいってたのを思いだした。
「あの子、もっと練習した方がいい。漢字なんて練習すればだれでもできるのにさ。悪いけど、矢野さんつて、なまけものなんだよね」

みんながどんどん100点をとっていった。
いつも以上にみんなが嬉しそうな顔をしている。
ハイタッチしたり、他の子のところにいちもくさんにかけつけて、ヒントをだしたり、黒板にあと何人でクリア、って書いたり
 なんだかいつもよりクラスがまとまりかけてる。
そうか。同じ目的にチャレンジしているからなんだね。

気づくと、黒田君だけがまっさおな顔をしている。
やっぱり練習していないんじゃないかな?
「なんだよ、黒田、ほとんど書いてねぇじゃないか、練習してねぇんじゃないか?」
助けに来た友達からそう言われると、きっ、と相手をにらみつけた。
「ざけんな。練習、やってんだよ。そんなこというなら、ここから消えろ」

やがて沢井さんが先生のところに行った。
みんなが手を止めて先生の机を見た。だれもが100点だとうたがわなかった。
 とつじょ先生のペンがとまった。先生がものすごく悲しそうな顔をした。
98点。
一問2点のテストのたった一問のミスだった。 
沢井さんは机に戻ると泣いた。
「沢井さん、一画書き忘れただけみたい。先生もおまけしてあげたらいいのに」
そんな声が聞こえてきた。
ふりかえって沢井さんをみると、泣きながら、間違った字を何回も何回もノートに書いているのが見えた。

「おいっ、わからないところあるか? 助けに来たぜ」
 ぼくは、もやもやした気持ちで、沢井さんが間違った字を指さした」
「がんばれよ」赤鉛筆で書かれた字を見ると、さっきまで思い出せなかった字がきゅうに思い出せた。
 ぼくは救援にきた子のチカラを借りて100点をとった。
 初めてとれた漢字テストの100点だった。
 けれど、なんかもやもやした。

「ルールだからな。100点にならなかったんで終わりだ」
 先生もくやしそうな顔をした。
 みんなもいっしゅんにしてしおれたようになった。

                 6

 テストで100点をとれなかったのは黒田君、漢字の苦手な矢野さん、
 そして委員長の沢井さんの3人だけだった。
「せ、せんせい」
 沢井さんがしゃくりあげながら手をあげた。
「み、みんなに話したいことがあるんです。」ゆっくりと前に出てきた。
 教室がきゅっ、てきんちょうした。
 沢井さんが、ふう、と息をはいた。
「みんな、今回は、わたしのせいで、本当に、本当にごめんなさい。」
 頭をさげた。涙の粒が床に落ちた。
 みんな苦しそうな顔をしていた。ぼくも沢井さんの方を見ることができなかった。

「わたしもごめんなさい」やがて矢野さんまで前に出てきてあやまった。
「矢野は漢字が苦手だから気にすんなよ」だれかがかばう。すると、教室はますます息苦しくなった。
 やがて、視線が、黒田くんの方に流れていった。
「おまえら、な、なんだよ。じろじろみるなよ。」
 黒田君は、一番近くの男子をにらみつけた。
 でも、観念したように立ちあがった。
「な、なんだよ…………。おれもいけばいいんだろ」
「くそっ、……、やるって決めたのは俺でした。やめるっていいませんでした。なのに、練習一分もしませんでした。ご、ごめんよ。」
 黒田君はぶすっとしていた。
 だれかが「先生、もう一回やりたい。いいでしょ」って言いだした。
 いっしゅんにして教室中が息をふきかえしたようになった。
「やらせてください」「お願いします」って声があちこちからした。
「お願いします」沢井さんも頭をさげた。
「実行委員長も続けさせてください」
「もちろんだよ」先生は笑った。「1回で全員が100点、っていうルールじゃないしね」

                 7

 それからみんなは本気になった。
 宿題の練習では、だれもがびっしりと漢字を書いてきた。
 一番びっくりしたのは黒田君だ。
 休み時間に沢井さんと漢字練習を始めた。
 先生からテストの紙をもらって、毎日10個ずつミニテストをしていた。
「いいぞ、黒田君、○だ」
沢井さんは花丸を書いてあげた。
「よしよし」沢井さんが頭をなでると、黒田君はうれしそうだった。
「そういゃ、おれ。漢字ってちゃんと書いたことなかったな。 漢字って、人のために書くんだな」
 黒田君の言葉はふかかった。

 矢野さんもまた、毎日、毎日練習していた。
 休み時間はいつも漢字を書いていた。
 矢野さんは漢字を書いても書いてもすぐに忘れてしまうセイシツなんだとテストの後に聞いた。
 前だって、ものすごい量の漢字を練習していたらしい。
 ぼくは悪いことをしたと思った。
 みんなでテストをする、ってことをしなかったら知らないままだった。
「矢野さん」林さんがてれくさそうにやってきた。
「あ、あのさ。い、今までごめんね。よかったら漢字おしえさせてくれないかな」 
「えっ」
 矢野さんはびっくりした顔をした。
 じつは、林さんは、あれから先生に呼ばれていたらしい。



「林さんは、だれとだれのところに行って一画かいてあげたのかな?」
 先生の目がぎょりと動いた。林さんは答えられなかった。

 じつは、数人に書いてから林さんはすみっこで本を読んでいたのだ。
 先生はそれをしからず、こんなことを言ったらしい。
「林さんはずっと一人でかんばってきたんですね」
 林さんは泣きだしたらしい。
「もし林さんがよかったら、そのすごいチカラを必要としている人のためにつかってあげてください」

 林さんの教え方はものすごくうまかった。
 しょうじき、ばなな先生よりはるかにうまかった。
「漢字は、部首とつくりがあるんだよ」
 林さんが部首だけ、つくりだけを伝えてくみあわせるように言った。
「あっ、こうするんだ」
 矢野さんがいうと、林さんがわらった。
「そうそう、すごい」
 林さんは-本当はこんなにやさしい人だったんだ。

 チャイムがなった。林さんがふいに矢野さんにこういった。
「おしえさせてくれてありがとう」
「えっ?」
「……、わたしにおしえさせてくれてありがとう」
 そのとたん、矢野さんが泣きだした。
「どうした、おいおい。林が矢野をいじめたのか」
 黒田君が変なことを言ってもクラスはぎすぎすしなかった。
 林さんと矢野さんの間に何があったのかなんとなくみんながわかっているからだ。

  


村づくりは見えた?


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