ばなな先生著『12歳までの自己肯定感の育て方で、その後の人生が決まる』無料公開②

ばなな先生著

『12歳までの自己肯定感の育て方で、その後の人生が決まる』

無料公開②

あとがき  仕上げはお母さんの「それでいい」

あとがき

 仕上げはお母さんの「それでいい」

いかがでしたか、7つのレッスン。
26項目のワークのうちの1つでも取り組んでいただけたら幸いです。

まず、自分がやってみて、お子さんにもやってもらう。
そして、お子さんに「それいい ね」「あなたらしいね」と一度でも伝えられたら、本書の役割は達成された気がします。

ばなな、最高にうれしいです。

この本を書いていると、ふと、ある親子のワンシーンがよみがえってきました。

教師をしていた時代、学校から数時間だけお休みをいただいた後、出勤していたときのことです。
駅からの道を早足で歩いていると、前をゆっくり歩く母子がいました。
ぼくのクラスのWさんでした。Wさんはおっとりした女の子。
やさしくて、自分のことはさておいて他の子の面倒を見てしまうような子です。
繊細なところもあり、ひんぱんに学校を休んだり遅刻したりしていました。

2人は植え込みの花壇の前に立っては、お花を指さし、街路樹を見上げては微笑みあっていました。
ぼくは気を使い、あえて別の道を歩いて学校に行き、それから15分くらいたってWさん が登校してきました。
Wさんの顔は笑顔いっぱいでした。

「お母さんと歩いているところを見てたよ」とぼくが言うと、Wさんは「先生も一緒にお 花を見ればよかったのに…」とのこと。
詳しく聞くと、植え込みを毎日見ていて、どうやらその変化を実際にお母さんに伝えたかったそうなのです。
「お母さんと植え込みの様子を観察することのほうが、彼女にとっては(学校の授業より も)貴重な学びの時間になる」と考えた自分は、間違えていなかったと思いました。

 

プロローグで、なぜお母さんが先に、ワークに取り組んだほうがいいのかを伝えました。
 チューリッヒ大学の発達心理学者、モーリッツ・ダウムは「子どもの模倣行動は学習以上に重要であり、模倣により自分がグループの一員であることを認識しやすくする」と提唱しています。
子どもが親、特にお母さんをまねる理由は、自身の成長のための模倣学習(モデリング) ということと、もう一つは、親へのあこがれや敬意からくる、そのコミュニティーに所属 したいという欲求の表れだというのです。

 

つまり、お母さん、お父さんに「あなたらしい」「それでいい」と言われることは、〇 〇家のメンバーになれたとお墨付きをいただくようなものなのです。
そうやって、承認を得ることにより、子どもは安心し、自分を好きになっていくのです。
Wさんのケースでいうと、Wさんのお母さんは園芸が大好きで、それをまねたWさん に、お母さんが「それでいい」と言ってあげることは、お子さんを家族の一員として承認 しただけではなく、お母さん自身も自分がしてきたことを子どもから承認されたことにな ります。

 

日本の教育で一番不足しているのは知識でもなければ技術でもありません。
お母さん、 お父さんから「それでいい」「あなたらしい」と承認してもらうことではないでしょうか。

ぼくたちはお母さんから生まれてきた

日本は「子育ての責任はお母さん、子育ての成果は教育活動」みたいな風潮があります。
そのせいでしょうか、かなりのお母さんが、「私がお母さんをするなんてとんでもない」と思っています。

国際教育機関が「お母さんになって幸せですか」というアンケートをとったところ、日 本は先進国で最下位、世界33位だそうです。
そういうことが遠因になっているのでしょう。
イベントに来たお母さんたちに幾度とな く「ばななさん、私の子育て、間違っていませんか」と泣かれたことがあります。
子育て の正解がどこかにあって、それを知らない自分は無知で、しかも見本通りにやれない自分 はダメだと思っているのです。

だからこそ、この7つのレッスンの一つでも、まずお母さんにやってほしいのです。
お母さん自身が子どもの感性を取り戻すと、家族が仲良くなります。
試しに「私の好きなところってどこ?」と旦那さんやお子さんに聞いてみてください。
その答えがお母さんの「子どもの感性」「自分らしさ」です。
家族は、自然体のお母さんが大好きなのです。

それでもお子さんに「それでいい」と思えない、というお母さんがいらっしゃると思い ます。
最後にその方にエールを送ります。

お母さんは自分のお子さんにこれまで二度、「それでいい」と言っています。
1つはお子さんが生まれたとき。どんな生まれ方をしても、たとえハンデを持って生まれてきても、望まない妊娠をしたとしても、「生む」という選択をした時点で、わが子に対して「それでいい」と肯定しています。
出産の選択権は100%女性側にあります。子 どもはそのことに、本当に感謝しているのです。

もう1つは、お子さんがお母さんとの間で起こしたさまざまな出来事を、お母さんは 「許してきた」ことです。
みなさんのお子さんは、何回おもらしをしましたか? 何回ウ ソをつきましたか?
 何回食べ残しましたか?
何回家事や仕事の邪魔をしましたか?
もちろん、叱ったこともあるでしょうが、それらを最終的には全部許したのではないで しょうか。

この先もお子さんは口答えしたり、反抗的な態度を取ったり、自分勝手に何かを決めていくこともあるでしょう。
その都度、衝突するかもしれませんが、最後は「それでいい」 という_言葉を投げかけてほしいのです。

かくいうぼくも3度も教員を辞めました。母親は反対のようでしたが、最後は「アンタ の好きなようにしな」と「白旗宣言」をしました。
ぼくがどれだけ覚悟を持ってやるの か、あえて「最大の壁」として立ちはだかってくれたのです。

お子さんは、お母さんからの「許し」という最大の愛をもらって大きくなっているのです。
誕生によって存在を認め、白旗によってその子が登る山への行く末を承認する。
お母さんって本当にすごい存在です。

お母さんにはかなわない。これが23年、教師をやってきて行き着いた結論でした。

お母さんはその子にとって最高の教師かもしれません。
そしてお母さんとやっていることこそ、その子にとって最高の教育活動なのです。
ですから、ぼくはこう言いたい。

お母さんをやっているだけですばらしい

※こちらは無料公開専用レイアウトです。実際の本のレイアウトは異なります。

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